英語は「綴り=音」が一致しない言語です。同じ a でも cat では「ア」、name では「エイ」、about では「ゥ」になります。この記事では、英語の読み方を決めている基本ルールを母音・子音・語尾・黙字の4分類で一覧表にまとめました。あわせて、ルールを覚えても会話ではそのとおりに発音されない理由——アクセントによる弱化と、単語同士がつながる音の変化——まで解説します。
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結論から言うと、綴りが決まった後に発音だけが変わったからです。
15〜18世紀にかけて英語の母音が大きく変化しました(大母音推移)。しかし印刷技術が広まって綴りが先に固定されたため、綴りは中世のまま、音だけが現代に更新された状態になっています。knight の k、name の e、though の gh が読まれないのは、かつては読まれていた名残です。
つまり英語の読み方は「不規則」なのではなく、古い音の化石が綴りに残っているだけです。ルールを知れば、初見の単語でもかなりの精度で読めるようになります。
母音字の読み方【基本ルール】
母音字(a・e・i・o・u)には「短い読み方」と「長い読み方」の2通りがあります。どちらになるかは、後ろに何が来るかで決まります。
| 母音字 | 短音(子音で終わる) | 長音(サイレントEなど) | ネイティブ発音の目安 |
|---|---|---|---|
| a | cat, map, hand /æ/ | name, cake, late /eɪ/ | ア(口を横に) → エイ |
| e | bed, pen, red /e/ | these, Pete /iː/ | エ → イー |
| i | sit, big, win /ɪ/ | time, nice, five /aɪ/ | イ(短く) → アイ |
| o | hot, box, stop /ɑ/ | home, note, hope /oʊ/ | ア(口を開けて) → オウ |
| u | cup, but, run /ʌ/ | cute, use, tube /juː/ | ア(短く) → ユー |
サイレントE のルール
語尾の e は読まないが、前の母音を「長音」に変える——これが英語の読み方で最も使えるルールです。
| e なし | 読み方 | e あり | 読み方 |
|---|---|---|---|
| hat | ハット /hæt/ | hate | ヘイト /heɪt/ |
| kit | キット /kɪt/ | kite | カイト /kaɪt/ |
| not | ナット /nɑːt/ | note | ノウト /noʊt/ |
| cut | カット /kʌt/ | cute | キュート /kjuːt/ |
| pet | ペット /pet/ | Pete | ピート /piːt/ |
母音字の組み合わせ
| 綴り | 読み方 | 例単語 | 例外 |
|---|---|---|---|
| ai / ay | エイ /eɪ/ | rain, day, wait | said(セッド) |
| ee / ea | イー /iː/ | see, eat, team | bread, head(エ) |
| oa | オウ /oʊ/ | boat, road, coat | broad(オー) |
| oo | ウー /uː/ または ウ /ʊ/ | food, moon / book, good | blood, flood(ア) |
| ou / ow | アウ /aʊ/ | house, now, out | soup(ウー), snow(オウ) |
| oi / oy | オイ /ɔɪ/ | coin, boy, join | ほぼ例外なし |
| au / aw | オー /ɔː/ | autumn, law, saw | laugh(アフ) |
| ie | イー /iː/ または アイ /aɪ/ | field / die, tie | friend(エ) |
子音の読み方【つまずきやすいもの】
| 綴り | 読み方 | 例単語 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ch | チ /tʃ/ | chair, teach, much | school, chorus は「ク」/k/ |
| sh | シュ /ʃ/ | she, fish, wash | 安定している |
| th | ス /θ/ または ズ /ð/ | think, both / this, mother | 日本語にない音 |
| ph | フ /f/ | phone, graph, photo | ギリシャ語由来の語に多い |
| gh | 読まない or フ /f/ | night, high / laugh, enough | 最も不規則 |
| c | ク /k/ or ス /s/ | cat, cup / city, face | e・i・y の前は /s/ |
| g | グ /g/ or ジ /dʒ/ | go, game / giant, age | e・i・y の前は /dʒ/(get は例外) |
| s | ス /s/ or ズ /z/ | see, bus / is, busy | 母音に挟まれると /z/ になりやすい |
| qu | クゥ /kw/ | queen, quick, quiet | u は必ずセット |
| x | クス /ks/ or グズ /gz/ | box, six / exam, exact | アクセントの位置で変わる |
読まない文字【黙字】一覧
英語には綴りにあるのに発音しない文字が多数あります。これも「昔は読まれていた」名残です。
| 読まない文字 | 条件 | 例単語 | ネイティブ発音の目安 |
|---|---|---|---|
| k | 語頭の kn- | know, knife, knee | ノウ / ナイフ / ニー |
| w | 語頭の wr- | write, wrong, wrap | ライト / ロング / ラップ |
| b | 語末の -mb | climb, thumb, lamb | クライム / サム / ラム |
| b | -bt | doubt, debt | ダウト / デット |
| l | -alk, -alf, -ould | talk, half, would | トーク / ハフ / ウド |
| t | -sten, -stle | listen, castle, whistle | リスン / キャスル / ウィスル |
| h | 語頭(一部) | hour, honest, heir | アワー / アネスト / エア |
| gh | -ight, -ough | night, though, through | ナイト / ゾウ / スルー |
| p | 語頭の ps-, pn- | psychology, pneumonia | サイコロジー / ニューモニア |
| e | 語末(サイレントE) | name, time, make | ネイム / タイム / メイク |
語尾の読み方【頻出パターン】
| 語尾 | 読み方 | 例単語 | ネイティブ発音の目安 |
|---|---|---|---|
| -tion | シュン /ʃən/ | action, nation, question | アクシュン / ネイシュン |
| -sion | シュン /ʃən/ or ジュン /ʒən/ | mission / vision, decision | ミシュン / ヴィジュン |
| -ture | チャー /tʃər/ | picture, nature, future | ピクチャー / ネイチャー |
| -sure | ジャー /ʒər/ | measure, pleasure | メジャー / プレジャー |
| -ous | ゥス /əs/ | famous, serious, nervous | フェイマス / シリアス |
| -able / -ible | ゥブル /əbl/ | able, possible, terrible | エイブル / パスィブル |
| -age | ィジ /ɪdʒ/ | village, message, package | ヴィリジ / メスィジ |
| -ough | 7通り | though, through, tough, cough, thought, plough, thorough | ゾウ / スルー / タフ / コフ / ソート / プラウ / サーロウ |
-ough は英語で最も読み方が割れる綴りで、同じ4文字が7通りに読まれます。ここだけは規則ではなく単語ごとに覚えるしかありません。
ルールを覚えても読めない理由【アクセントと弱化】
ここまでのルールは「その単語を単独で、はっきり発音したとき」の読み方です。しかし実際の英語では、アクセントが置かれない母音は力を失って「ゥ」に変わります(シュワー化)。
| 単語 | ルール通りの読み | 実際の読み | 何が起きているか |
|---|---|---|---|
| about | アバウト | ゥバウト | a にアクセントがない |
| today | トゥデイ | タデイ | o にアクセントがない |
| support | サポート | スポート | u にアクセントがない |
| problem | プロブレム | プラブルム | e にアクセントがない |
| chocolate | チョコレート | チョクリッ | o が消え、語末 t も弱い |
| vegetable | ベジタブル | ヴェジタボー | 2つ目の e が丸ごと消える |
カタカナで覚えた読み方が通じない・聞き取れない原因はここです。綴りのルールは「アクセントがある音節」にしか適用されません。
会話ではさらに読み方が変わる
単語が2つ以上つながると、読み方はもう一段変化します。辞書の読み方を完璧に覚えても、会話が聞き取れないのはこのためです。
| 元の読み方 | 会話での実際の音 | 変化の種類 |
|---|---|---|
| going to | ガナ(gonna) | 短縮 |
| want to | ワナ(wanna) | 短縮 |
| did you | ディジュー | 同化 |
| an apple | アナポー | 連結 |
| water | ワーラー | ら行化(フラップT) |
| next day | ネクス デイ | 脱落 |
| tell him | テリム | /h/ の脱落+連結 |
読み方のルールは「単語を単独で見たときの設計図」であり、会話で実際に耳に届く音は、そこから弱化・連結・脱落・同化を経た「完成した音」です。両方を知って初めて、聞こえた音と単語が結びつきます。
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リアルガチリスニングの講座を見るよくある質問
英語の読み方にルールはありますか?
あります。母音字の短音・長音、サイレントE、二重字(ch・sh・th・ph)、語尾のパターン(-tion・-ture・-ous)、黙字(kn-・wr-・-mb)といった規則があり、これらで英単語のかなりの部分は読めます。ただし例外も多く、特に -ough は同じ綴りが7通りに読まれるため、規則ではなく単語ごとに覚える必要があります。
なぜ英語は綴りと読み方が一致しないのですか?
綴りが固定された後に、発音だけが変化したためです。15〜18世紀の大母音推移で英語の母音が大きく変わりましたが、印刷技術の普及で綴りが先に固定されました。knight の k や name の e が読まれないのは、かつて発音されていた音の名残です。
サイレントEとは何ですか?
語尾の e を発音しない代わりに、前の母音を長音に変えるルールです。hat(ハット)が hate(ヘイト)、kit(キット)が kite(カイト)、not(ナット)が note(ノウト)になります。英語の読み方ルールの中で最も適用範囲が広く、最初に覚える価値があります。
-ough の読み方が単語ごとに違うのはなぜですか?
もともと gh は喉の奥で出す子音を表していましたが、その音が失われる過程が単語ごとに違ったためです。結果として though(ゾウ)、through(スルー)、tough(タフ)、cough(コフ)、thought(ソート)、plough(プラウ)、thorough(サーロウ)の7通りに分かれました。規則化できないため個別に覚えるしかありません。
読み方のルールを覚えれば英語を聞き取れますか?
それだけでは足りません。ルールは「単語を単独ではっきり発音したとき」の読み方であり、実際の会話ではアクセントのない母音が弱くなり(about が「ゥバウト」)、さらに単語同士がつながって変化します(did you が「ディジュー」)。ルールは設計図、会話の音は完成品と考えてください。
カタカナで覚えた読み方が通じないのはなぜですか?
主な理由は2つです。ひとつは日本語にない音(/θ/ /ð/ /r/ /l/ /f/ /v/)をカタカナで代用しているため。もうひとつは、アクセントのない母音がシュワー化する現象がカタカナでは表せないためです。support を「サポート」と覚えていると、実際の「スポート」と結びつきません。
c と g の読み方はどう見分けますか?
後ろに e・i・y が来ると、c は /s/、g は /dʒ/ になります。city(スィティ)、face(フェイス)、giant(ジャイアント)、age(エイジ)がその例です。それ以外では c は /k/、g は /g/ です。ただし get・give のように g が例外的に /g/ のままの語もあります。
初見の英単語を読めるようになるには何から始めればいいですか?
優先順位は、①サイレントE、②母音字の短音・長音、③二重字(ch・sh・th・ph)、④頻出語尾(-tion・-ture・-ous)、⑤黙字、の順です。この5つで日常語の大半はカバーできます。その後、アクセントによる弱化(シュワー化)を学ぶと、読めるだけでなく聞き取れるようになります。

