英語の発音記号は、母音約20個・子音24個の合計44音です。この記事では、その全44音を「記号・カタカナの目安・例単語」の一覧表にまとめました。加えて、辞書には載っていない「会話ではその記号どおりに発音されない音」——弱くなる音、消える音、つながる音——も同じ表の中で示します。記号を覚えること自体が目的ではなく、聞こえた音と記号を結びつけられるようになることがゴールです。
本気でリスニングを伸ばしたい方は、こちらもチェックしてみてください。
ネイティブの省略発音を、動画と音声で体系的に学べます。
リアルガチリスニングの講座を見る英語の発音記号一覧【母音20音】
母音は「短母音」「長母音」「二重母音」の3グループに分かれます。日本語の母音は5つですが、英語は約20あります。この数の差が、日本人が英語を聞き取れない最大の原因のひとつです。
短母音(7音)
| 発音記号 | ネイティブ発音の目安 | 例単語 | 日本人がつまずく点 |
|---|---|---|---|
| /ɪ/ | イとエの中間・短く | sit, big, this | /iː/ と混同しやすい(sit と seat) |
| /e/ /ɛ/ | エ | bed, get, said | 日本語のエとほぼ同じで難易度は低い |
| /æ/ | アとエの中間 | cat, bad, apple | /ʌ/ と混同しやすい(cat と cut) |
| /ʌ/ | 短いア | cup, love, but | 綴りが u/o/ou とバラバラで読めない |
| /ʊ/ | 短いウ・唇はゆるめ | book, good, put | /uː/ と混同しやすい(full と fool) |
| /ɑ/ | 口を開けたア | hot, stop, box | 米英で差が大きい(英は /ɒ/) |
| /ə/ | あいまいな「ア」 | about, sofa, support | 最重要。次章で詳述 |
長母音(5音)
| 発音記号 | ネイティブ発音の目安 | 例単語 | 短母音との対比 |
|---|---|---|---|
| /iː/ | イー・口を横に引く | see, eat, need | seat /iː/ ⇔ sit /ɪ/ |
| /uː/ | ウー・唇を丸める | blue, food, two | fool /uː/ ⇔ full /ʊ/ |
| /ɔː/ | オー・口を大きく | law, all, bought | caught /ɔː/ ⇔ cot /ɑ/ |
| /ɑːr/ | アー・舌を奥に引く | car, park, heart | R音で舌がどこにも触れない |
| /ɜːr/ | アーとウーの中間 | bird, work, turn | 日本語にない音で最難関のひとつ |
二重母音(8音)
二重母音は「2つの母音が1つにつながった音」です。カタカナで書くと2音節に見えますが、英語では1音節——ここを間違えると通じません。
| 発音記号 | ネイティブ発音の目安 | 例単語 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| /eɪ/ | エイ(1音節) | day, make, rain | 「エ・イ」と切らない |
| /aɪ/ | アイ(1音節) | my, time, buy | 後半の /ɪ/ は軽く |
| /ɔɪ/ | オイ(1音節) | boy, coin, enjoy | 比較的わかりやすい |
| /aʊ/ | アウ(1音節) | now, house, out | 「ア」を強く「ウ」を弱く |
| /oʊ/ | オウ(1音節) | go, know, home | 「オー」ではなく「オウ」 |
| /ɪr/ /ɪər/ | イアー | ear, here, near | 米語ではR音が強い |
| /er/ /eər/ | エアー | air, care, there | 米語ではR音が強い |
| /ʊr/ /ʊər/ | ウアー | tour, poor, sure | 話者によって /ɔːr/ になる |
英語の発音記号一覧【子音24音】
子音は「口のどこで音を作るか」で分類すると覚えやすくなります。特に日本語にない /θ/ /ð/ /f/ /v/ /r/ /l/ の6音が、日本人の聞き取りを難しくしています。
| 分類 | 発音記号 | ネイティブ発音の目安 | 例単語 |
|---|---|---|---|
| 破裂音 | /p/ | プ(息を強く) | pen, stop, happy |
| /b/ | ブ | book, job, table | |
| /t/ | トゥ(語中でラ行化しやすい) | time, water, sit | |
| /d/ | ドゥ | day, red, middle | |
| /k/ | ク(息を強く) | cat, book, school | |
| /g/ | グ | go, big, again | |
| 摩擦音 | /f/ | フ(下唇に上の歯) | food, off, laugh |
| /v/ | ヴ(下唇に上の歯・声あり) | very, love, of | |
| /θ/ | ス(舌先を歯に軽く) | think, both, math | |
| /ð/ | ズ(舌先を歯に・声あり) | this, mother, with | |
| /s/ | ス | see, bus, city | |
| /z/ | ズ | zoo, is, busy | |
| /ʃ/ | シュ | she, fish, sure | |
| /ʒ/ | ジュ(声あり) | vision, usual, garage | |
| /h/ | ハ(会話でよく消える) | hat, who, behind | |
| 破擦音 | /tʃ/ | チ | chair, watch, teach |
| /dʒ/ | ジ | job, age, bridge | |
| 鼻音 | /m/ | ム | man, time, come |
| /n/ | ヌ | no, run, dinner | |
| /ŋ/ | ング(グは言わない) | sing, long, think | |
| 接近音 | /l/ | ル(舌先を歯茎につける) | look, all, help |
| /r/ | ル(舌をどこにもつけない) | red, car, sorry | |
| /w/ | ウ(唇を丸める) | we, want, away | |
| /j/ | ヤ行の音 | yes, you, music |
最重要の発音記号は /ə/(シュワー)
44音のうちひとつだけ覚えるなら /ə/(シュワー、あいまい母音)です。理由は単純で、英語で最も多く登場する母音だからです。
シュワーは「アクセントが置かれない母音が、力を失って曖昧になった音」です。つまり綴りが a でも e でも i でも o でも u でも、アクセントがなければ全部 /ə/ になります。
| 単語 | 綴り上の母音 | 実際の発音記号 | ネイティブ発音の目安 |
|---|---|---|---|
| about | a | /əˈbaʊt/ | アバウト → ゥバウト |
| problem | e | /ˈprɑːbləm/ | プロブレム → プラブルム |
| pencil | i | /ˈpensəl/ | ペンシル → ペンスル |
| today | o | /təˈdeɪ/ | トゥデイ → タデイ |
| support | u | /səˈpɔːrt/ | サポート → スポート |
ここが「聞き取れない」の正体です。カタカナで覚えた「アバウト」「サポート」を耳が探しているのに、実際に流れてくるのは「ゥバウト」「スポート」。音が違うので、知っている単語なのに認識できません。
発音記号どおりに発音されない音【会話での変化】
辞書の発音記号は「その単語を単独で、はっきり発音したとき」の音です。しかし会話では単語がつながるため、記号どおりには発音されません。ここが辞書を引いても聞き取れるようにならない理由です。
| 変化の種類 | 辞書の音 | 会話での実際の音 | 何が起きているか |
|---|---|---|---|
| 弱形 | and /ænd/ | /ən/ /n/(ン) | 母音がシュワー化し /d/ が脱落 |
| 弱形 | to /tuː/ | /tə/(タ) | 母音がシュワー化 |
| 脱落 | next day /nekst deɪ/ | ネクス デイ | 子音が3つ続くと真ん中が落ちる |
| 連結 | an apple /ən æpl/ | アナポー | 子音+母音がつながる |
| 同化 | did you /dɪd juː/ | ディジュー | /d/+/j/ が /dʒ/ に変わる |
| ら行化 | water /ˈwɔːtər/ | ワーラー | 母音に挟まれた /t/ がラ行に |
| /h/の脱落 | tell him /tel hɪm/ | テリム | 機能語の /h/ が消える |
発音記号を全部覚えても、この変化を知らなければ会話は聞き取れません。逆に言えば、記号は「変化する前の元の形」を知るための道具として使うのが正しい使い方です。
発音記号を覚える順番【優先度順】
44音を最初から全部覚えようとすると、ほぼ確実に挫折します。聞き取りへの影響が大きい順に進めてください。
| 順番 | 覚える音 | 理由 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | /ə/ シュワー | 最頻出。これだけで聞こえ方が変わる | 1日 |
| 2 | /ɪ/ /iː/ /ʊ/ /uː/ /æ/ /ʌ/ | 混同ペア。単語を取り違える原因 | 3日 |
| 3 | /θ/ /ð/ /f/ /v/ | 日本語にない子音。sやbに聞こえてしまう | 3日 |
| 4 | /r/ /l/ | 日本語にない子音。区別できないと単語が絞れない | 1週間 |
| 5 | 二重母音8音 | 1音節であることの体得が中心 | 3日 |
| 6 | 残りの子音 | 日本語と近く、優先度は低い | 随時 |
そして記号を覚えたあとに必要なのが、前章の「会話での変化」を耳で処理できるようにする訓練です。記号の知識と、実際の音を結びつける段階がここにあたります。
ネイティブの音の変化を、基礎から体系的に練習したい方へ。
ネイティブの省略発音を、動画と音声で体系的に学べます。
リアルガチリスニングの講座を見るよくある質問
発音記号は全部覚える必要がありますか?
いいえ。まず /ə/(シュワー)と、混同しやすい母音ペア(/ɪ/ と /iː/、/ʊ/ と /uː/、/æ/ と /ʌ/)、日本語にない子音(/θ/ /ð/ /f/ /v/ /r/ /l/)の合計15音程度を優先してください。この15音で、聞き取れない単語の大半をカバーできます。残りは日本語の音で代用が効くため、後回しで構いません。
発音記号を覚えれば英語が聞き取れるようになりますか?
それだけでは不十分です。辞書の発音記号は「単語を単独ではっきり発音したとき」の音であり、会話では弱形・脱落・連結・同化といった変化が起こります。たとえば did you は /dɪd juː/ ではなく「ディジュー」と聞こえます。記号は「変化する前の元の形」を知るための土台であり、その上に音の変化を処理する訓練が必要です。
英語の発音記号はいくつありますか?
アメリカ英語ではおおむね母音が約20音、子音が24音の合計44音です。ただし分類のしかたは辞書によって差があり、たとえば /e/ を /ɛ/ と表記したり、/ɪr/ を /ɪər/ と書いたりします。記号の見た目が辞書ごとに違っても、指している音はほぼ同じと考えて問題ありません。
シュワー /ə/ とは何ですか?
アクセントが置かれない母音が力を失って曖昧になった音で、英語で最も多く登場する母音です。綴りが a・e・i・o・u のどれであっても、アクセントがなければ /ə/ になります。about が「ゥバウト」、support が「スポート」のように聞こえるのはこのためで、カタカナで覚えた音と実際の音がずれる最大の原因です。
アメリカ英語とイギリス英語で発音記号は違いますか?
一部違います。代表的なのは、hot の母音がアメリカ英語では /ɑ/、イギリス英語では /ɒ/ になる点と、car・bird のように綴りに r を含む語で、アメリカ英語は r を発音するのに対しイギリス英語は発音しない点です。日本の学習教材や辞書はアメリカ英語表記が主流のため、まずはアメリカ英語で覚えて構いません。
発音記号が読めなくても英語は話せますか?
話すこと自体は可能ですが、カタカナ読みのまま覚えると通じにくくなり、聞き取りも伸びにくくなります。たとえば /æ/ と /ʌ/ をどちらも「ア」で覚えると、cat と cut が同じ音になり、話しても聞いても区別できません。最低限、混同ペアだけでも記号で区別しておくと効率が大きく変わります。
発音記号の /t/ が「ラ」に聞こえるのはなぜですか?
アメリカ英語では、母音に挟まれた /t/ が日本語のラ行に近い音(フラップT)に変わるためです。water が「ワーラー」、better が「ベラー」、party が「パーリー」のように聞こえます。辞書には /ˈwɔːtər/ と書かれているため、記号だけを見ていると気づけない変化のひとつです。
子音が続くと音が消えるのはなぜですか?
子音が3つ以上連続すると発音しづらくなるため、真ん中の子音が落ちる現象(脱落)が起きます。next day は「ネクスト デイ」ではなく「ネクス デイ」、asked her は「アスクト ハー」ではなく「アスターr」のように聞こえます。単語の切れ目が消えるため、知っている単語でも認識できなくなります。

